カテゴリー別アーカイブ: 公園

アクロス福岡

珍しく福岡県の博多に出張だったので、帰り際にアクロス福岡に立ち寄ってきました(2015.11.26)。
1995年に竣工し“都市緑化”の先駆けとなったこのビル。早くも築20年経過。
今ではビルというより山そのもの。竣工後も補植したり鳥が種を運んで来たりして、植物の種類や本数はどんどん増えているのだそう。管理は、雨水利用や落ち葉利用をしているから、無潅水だし施肥も行っていない、と本に書いてありました。
見るからに植物は生き生きと根付いていて、逆に躯体の方は大丈夫かな…と心配してしまうくらいの成長ぶり。
今は赤く紅葉したハゼノキが山全体に彩りを添えています。
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オオハマボウ?!北限は屋久島とも言われるけど福岡でも育っています。
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ちょうどお昼時だったので、サラリーマンが数人エッサエッサとランニング登山していました。
いい運動!赤い実は何でしょう・・・ウメモドキ?(自信無し)
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滝周りはビャクシン類が勢力拡大中・・・本当に階段まで覆い尽くしそうな勢いです。
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東京ディズニーランドのランドスケープ

1ヶ月ほど前に20数年ぶりに東京ディズニーランドに行ってきました。子連れにて。。
子供にとっては、小学生でディズニーランドデビュー、とは若干遅咲きでしょうか。親である私が、なんとなくテーマパークというものが苦手で、割と近くのサンリオピューロランドですら連れて行ってないという…。
Wikipediaを見ると全国にテーマパークってこんなにたくさんあるのですね。「かつて存在したテーマパーク」というまとめも痛々しい…倉敷チボリとか長崎オランダ村とか…ほとんど2000~2010年の間に破綻していることがわかります。

さて、そんな明暗分かれるテーマパークの中でも、常にハイレベルな運営を維持している東京ディズニーランドなので、若干(かなり?)仕事目線を持ちつつ入園。
マップ>>

…と、入った瞬間からその演出力にやられました。
ゴミひとつない手入れの行き届いた園内、テーマごとの作り込み、控えめなサイン・自販機、気持ちの良いキャスト(スタッフ)の対応、そして何よりも生き生きとした植栽!

↓ワールドバザールを抜けて広がる風景。平面を見ると中心となるシンデレラ城に向かって遠近法がとられているため、求心性がより強められているのでしょう。両側はオリーブの並木で演出。
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「ランドスケープデザインNo.65(2009年4月号)」の特集『テーマパークに学ぶランドスケープ・マネジメント』によると、7つのテーマランドは舞台となる国・地域がそれぞれ設定されているのですが、日本との気候帯の違いにより、単純にその国の植物を導入して表現することはできません。そこで、日本の植物も含め、各テーマランドにふさわしい植物を選び出し再構成しているそうです。たとえば南国の森を表現するアドベンチャーランドにはモウソウチクやビワ、ヤブラン、ツワブキなど、和のイメージが強い植物も効果的に導入されているのです。
また、臨海埋立地という潮風害や寒害を受けやすい特殊環境を克服するために、外周に高さ約4mのバーム(汀段)を設けるとともに、スプリンクラーによる塩分洗浄を徹底することで植物を塩害から守っているのだそうです。

↓こちらはウエスタンリバー鉄道からの風景。シカはもちろんフェイクです。クロマツもなぜか馴染んでいて、この奥行きのある人形-緑-水-緑-人形の構成がすばらしい。
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↓これもウエスタンランド。この護岸の森にはアメリカフウやカエデ類が多用されているようです。秋・冬のシーンも見てみたい。
池の水も設備が見えないように程よく濁らせているのだそうです。抜かりない演出…
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↓ロビンソン一家がたどり着いた無人島。という設定。手前の巨木は擬木です… 足元にある花木はセンダンでしょうか。こんな所で出会えるとは!
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↓遊び心満載のトゥーンタウン。このカイヅカイブキの巻き巻き刈り込み、子供も大うけ。
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↓一歩間違うと下品になりがちな原色の花壇ですが、絶妙なバランス。一つ一つの花壇に年間計画(フラワーカレンダー)があるそうです。
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また、なぜか園内には全体案内サインが見当たらず、みんな地図を片手に散策することになります。でも、わからなかったらキャストに聞けば親切に答えてくれる、という安心感があるのでクレームにはつながらないのでしょうね。
↓方向感覚を失っても、たいていシンデレラ城が見えるというのも迷子になりにくい要因かもしれません。
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アトラクションに何度もつき合わされフラフラしながらも、印象的なシーンを撮影していたら、あっという間に夕暮れに。また違う季節に来ようと決意した一日でした。

※こんな本もありました。
  

「水田→弾薬庫→公園」と歴史を刻む公園

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連日の猛暑の中、プールOPENにあわせて横浜市にある「こどもの国」に行った。この公園は、どの広場も森による囲まれ感がここちよい。プールもしかり。泳ぎながら森林浴できるってなかなか貴重な存在。

ここは広さ約100ヘクタール、多摩丘陵の雑木林をそのまま生かした自然の遊び場で、今では遠足の聖地と言われるほど平和の象徴的な公園として定着しているが、以前(戦時中)は弾薬製造貯蔵施設(東京陸軍兵器補給廠・田奈部隊填薬所)として使われていた歴史がある。敗戦後の1961年に「こどもの国」用地として日本に返還されるまで、米軍弾薬庫として接収されていたのが功を奏し、都会の中でも広大な自然がそのまま残されることが可能となったのだそうだ。

それにしても園内は広大かつ自然の曲線が多く全体像がつかみにくい。…が、この『横浜こどもの国の今昔』という3枚の変遷図を見つけて、深く納得。弾薬製造貯蔵施設として利用される前は、見事な谷戸(谷津田)だったのだ!
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(C)永野達代の鳥瞰図ギャラリー

森に深く入り込んだ2つの谷戸の水田部分が戦時中、弾薬を運搬するための引込み線や道路となり、さらにその弾薬庫関連施設として利用されていた部分が「こどもの国」の園路・広場となったわけだ。

まさに時代とともに変遷する土地の利用・・・だけどその時代ごとに地形をうまく読み込んで、取り込んで、各々の機能とかたちを実に巧みに地形とフィットさせている。
もう一度じっくりと歩いてみたくなった。

公園のトータルデザイン

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この前の日曜日に都立武蔵国分寺公園に初めて遊びに行った。
事前に申し込んでおいた子供の「走り方教室」が一番の目的。ふだん改めて「走り方」なんて教えたことが無いので、プロのコーチ(ミズノ)がどんな風に教えてくれるのか興味半分、息子よ速くなれよーの期待半分。

・・・それはさておき、この公園なんだかとてもすっきりしている!という印象。公園自体のデザインは至ってノーマルだけど、無駄なものがなくてきもちがいい。だから緑がきれいに映える。
そう思える公園って案外少ないもので、多くはあか抜けない注意看板が広場の真ん中にバーンと立っていたり、ごちゃっとファニチャーがあったり…。
ここでまず目に留まったのは、語りかける風の看板。注意看板とはいえ威圧感が全くなく、やわらかいイラストが気持ちを惹きつける。
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普通はこんなのが多いのですが(某公園の例)
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さらにひどいと、こんなにも上から目線な…まあ危険なのは分かりますが(某公園の例)
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…で再び戻って、仮設サインは仮設なりの控えめな場所に。でもちゃんと目につくポイントを押えている。
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イベントの荷物置き場は布をひらりと置いておくだけ。こういう所がいちいちカワイイ!
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選べるセルフガイドもデザインが統一されていて見やすい。子供のお気に入りはバッタバージョン。
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公園のデザインは最初にほぼ決まってしまうけど、管理運営次第でいくらでも印象は変えられるものだと改めて感じた一日。維持管理や運営のレベルはもちろんだけど、案内サインや広報ツール、仮設ものも含めたトータルデザインができていると全然違ってみえる。その絶妙なバランス感覚は結局、公園管理者のデザインセンスなんだよなあ。