東京ディズニーランドのランドスケープ

1ヶ月ほど前に20数年ぶりに東京ディズニーランドに行ってきました。子連れにて。。
子供にとっては、小学生でディズニーランドデビュー、とは若干遅咲きでしょうか。親である私が、なんとなくテーマパークというものが苦手で、割と近くのサンリオピューロランドですら連れて行ってないという…。
Wikipediaを見ると全国にテーマパークってこんなにたくさんあるのですね。「かつて存在したテーマパーク」というまとめも痛々しい…倉敷チボリとか長崎オランダ村とか…ほとんど2000~2010年の間に破綻していることがわかります。

さて、そんな明暗分かれるテーマパークの中でも、常にハイレベルな運営を維持している東京ディズニーランドなので、若干(かなり?)仕事目線を持ちつつ入園。
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…と、入った瞬間からその演出力にやられました。
ゴミひとつない手入れの行き届いた園内、テーマごとの作り込み、控えめなサイン・自販機、気持ちの良いキャスト(スタッフ)の対応、そして何よりも生き生きとした植栽!

↓ワールドバザールを抜けて広がる風景。平面を見ると中心となるシンデレラ城に向かって遠近法がとられているため、求心性がより強められているのでしょう。両側はオリーブの並木で演出。
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「ランドスケープデザインNo.65(2009年4月号)」の特集『テーマパークに学ぶランドスケープ・マネジメント』によると、7つのテーマランドは舞台となる国・地域がそれぞれ設定されているのですが、日本との気候帯の違いにより、単純にその国の植物を導入して表現することはできません。そこで、日本の植物も含め、各テーマランドにふさわしい植物を選び出し再構成しているそうです。たとえば南国の森を表現するアドベンチャーランドにはモウソウチクやビワ、ヤブラン、ツワブキなど、和のイメージが強い植物も効果的に導入されているのです。
また、臨海埋立地という潮風害や寒害を受けやすい特殊環境を克服するために、外周に高さ約4mのバーム(汀段)を設けるとともに、スプリンクラーによる塩分洗浄を徹底することで植物を塩害から守っているのだそうです。

↓こちらはウエスタンリバー鉄道からの風景。シカはもちろんフェイクです。クロマツもなぜか馴染んでいて、この奥行きのある人形-緑-水-緑-人形の構成がすばらしい。
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↓これもウエスタンランド。この護岸の森にはアメリカフウやカエデ類が多用されているようです。秋・冬のシーンも見てみたい。
池の水も設備が見えないように程よく濁らせているのだそうです。抜かりない演出…
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↓ロビンソン一家がたどり着いた無人島。という設定。手前の巨木は擬木です… 足元にある花木はセンダンでしょうか。こんな所で出会えるとは!
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↓遊び心満載のトゥーンタウン。このカイヅカイブキの巻き巻き刈り込み、子供も大うけ。
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↓一歩間違うと下品になりがちな原色の花壇ですが、絶妙なバランス。一つ一つの花壇に年間計画(フラワーカレンダー)があるそうです。
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また、なぜか園内には全体案内サインが見当たらず、みんな地図を片手に散策することになります。でも、わからなかったらキャストに聞けば親切に答えてくれる、という安心感があるのでクレームにはつながらないのでしょうね。
↓方向感覚を失っても、たいていシンデレラ城が見えるというのも迷子になりにくい要因かもしれません。
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アトラクションに何度もつき合わされフラフラしながらも、印象的なシーンを撮影していたら、あっという間に夕暮れに。また違う季節に来ようと決意した一日でした。

※こんな本もありました。