坂のまち

これまでほぼ平坦な土地にしか住んだことがなかった私にとって、今住んでいる坂だらけの町は、たまらなく魅力的である。

この近辺は多摩丘陵の縁にあたり、ひだ状の地形が町に有機的に食い込んでいる。
…というよりも、町の開発がひだ状の地形に強引に、容赦なく食い込んでいっている、という方が正しいのか…。
路地裏散歩好きな私にとって「たまらなく魅力的」に映る場所はたいてい、町とその「ひだ」の接点部に多く見られる。
「道は<尾根系>と<谷系>から成る二重構造をもち、その両者を結ぶ所に多くの<坂>がつくられている。」とは陣内秀信氏が『東京の空間人類学』で表現した、東京の山の手の普遍的な仕組みのワンフレーズだが、まさにこの地も、谷系(旧市街地、昔の農村部)と尾根系(昔は雑木林、今はたいてい新市街地となっている)をつなぐ坂や階段、石積みや擁壁などの構造物で町の骨格がつくられており、その原地形をベースとした一見不可解な土地利用が、町歩きにおもしろさを与えている。

複数の開発が見て取れる。各開発の軸線がほとんどずれているのはひだ状地形に順応しているため
130704map (c)2013Google

谷と尾根を結ぶ急階段
130704-2

宅地と樹林地に挟まれた抜け道。私道?公道?
130704-4

集落と集落をつなぐ道。私道?公道?
130704-5

擁壁と集合住宅の構造体が一体となった構造物。。どこまでが建築なのか…
130704-1

住宅地に点在する小規模な公園(街区公園)もまた意外性にあふれている。笑ってしまうほどこの土地らしい…。
使える土地(=無理なく水平が確保できる土地)は宅地にして、余った部分をとりあえず公園にしておく感が強い。
だから「広場」というよりは「遊べる道」「遊べる階段」といった方が誤解が少ない。
昨日出会った例はこちら↓。

4層の階段が連続する奥行き感のある入口部。あの先はどんな視界が開けるのか…わくわく
130704-6

2層目の階段を上ったところ。おっ太鼓橋がひとつ。でも気になるのはあの階段の向こう…
130704-7

4層目の階段を上がったところ。アベリアで彩られる出口。って、ええー終わってしまった。。。
130704-8

さらにその先の車道への接続部。お地蔵様とけもの道風なしつらえ。。
130704-9

この例はかなり極端な例かもしれないが、この町のパーツパーツが、その場所仕様に懸命にカスタマイズされながら、町としての(とりあえずの?)体裁を整えていることが、妙に心を躍らせるのだろうか…。