日本造園学会造園作品選集2002 (都立野山北・六道山公園あそびの森)

 東京都立野山北・六道山公園は、狭山丘陵の一部にあたる広域公園で昭和63年から整備が進められている。その東側に位置するあそびの森は、豊かな里山環境を活かした木製遊具のある広場として平成12年3月に開園した。 「自然保護」と「公園利用」という異なる要求を如何に融合させるかが重要課題であったため、自然環境に影響が少ないエリアを事前検討し、限定された範囲内において計画を開始した。
 自然保護団体・福祉施設等多くの関係機関との調整の結果、「森と遊ぼう」を全体テーマとし「人と自然の共生」「ユニバーサル」「ハーフメイド・住民参加」の3つの視点から、遊びながら里山の良さを感じられる計画コンセプトを展開した。 このため現況地形・既存植生を活かすことを前提とし、通常使いにくいとされる急斜面に「かけのぼる」「すべりおりる」等の遊具を設置し、森の中を楽しみながら移動できる動線設定を行った。 また動物の移動・行動・すみか等の特性を表現した遊具や、既存樹を象徴木として取込んだ遊具を点在させ、動植物の存在をより身近に感じさせる遊具設計を試みた。
 さらに、自然環境の中でのユニバーサルデザインを「全ての人が同等に利用できる」ではなく「各個人が全てを選択できる」という意味に捉え直し、各遊具に多くのバリエーションを与える事で自分の能力に応じた遊びの選択ができる様に計画している。 地形上大きく「森の広場」「谷の広場」に分けられるが、両広場とも車椅子でアクセス可能な園路設定となっており、特に谷の広場は、石積みテラスを中心に休憩機能を併せ持つ遊具を配置する事で様々な人が集える休息空間となっている。
 ハーフメイド・住民参加の視点としては、開園後の利用者による創作余地を残した初期整備に留める事で、将来的に変化していく遊び場となっている。既に、子供の描いたサイン板や小学生夏休み課題のアイデア遊具等その試みは実現化されつつある。

(椎名和美・田村裕希)

撮影:2000/05 Yuki Tamura

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